ティンバーゲンの定理とマンデルの定理

ティンバーゲンの定理とマンデルの定理

ティンバーゲンの定理とは、「N個の独立した政策目標を達成するためには、N個の独立した政策手段が必要」というものである。つまり、成長と安定化と再分配の3つ目標を達成するためには、3つの政策手段が必要だということである。もっとも、1つの政策手段が複数の効果をもたらす場合は少なくない。例えば、規制緩和は経済の効率性を上昇させる一方で不平等を拡大してしまうことがある。

このような副作用をコントロールするために、マンデルの定理が有用である。マンデルの定理とは、ある政策目標があった場合には、副作用への懸念はいったん切り離してその目標を達成するためにもっとも安上がりな手段をもちいるべきであるというものである。

例えば、業界の効率性を上げるのにもっとも安上がりな手段が参入規制の撤廃であればそれを選択する。そして、その結果大企業への集中という副作用が生じればそれを解決するのにもっとも安上がりな手段を使う。

このように副作用への懸念をいったん切り離してもっとも安価な方法を使っていけば、全体として政策目標を達成するために必要な総費用を最小化できる、というのがマンデルの定理である。